Vue Routerの導入
Vue.jsでは、シングルページアプリケーション(SPA)におけるルーティングを簡単に実装するために、Vue Routerという公式のルーティングライブラリを利用することができます。
インストール
まず、Vue Routerをプロジェクトに追加するために、以下のコマンドを使用して必要なパッケージをインストールします。
npm install vue-router
または、Yarnを使用する場合は以下のコマンドを実行します。
yarn add vue-router
ルーターの作成
Vue Routerを使用するには、まずルーターインスタンスを作成する必要があります。一般的な場合、src
ディレクトリ内にrouter
ディレクトリを作成し、その中にindex.js
という名前のファイルを作成します。
// src/router/index.js
import Vue from 'vue';
import VueRouter from 'vue-router';
Vue.use(VueRouter);
const router = new VueRouter({
// ルートの定義
routes: [
// ここにルートの設定を追加します
]
});
export default router;
ルートの設定
ルーターインスタンスを作成したら、routes
オプションを使用してルートの設定を行います。各ルートはオブジェクトとして定義され、path
プロパティにはURLのパス、component
プロパティには表示するコンポーネントを指定します。
// src/router/index.js
import Home from '../views/Home.vue';
import About from '../views/About.vue';
const router = new VueRouter({
routes: [
{
path: '/',
component: Home
},
{
path: '/about',
component: About
}
]
});
この例では、ルートパス(/
)にはHome
コンポーネントが表示され、/about
パスにはAbout
コンポーネントが表示されます。
ルーターの適用
ルーターをVueアプリケーションに適用するためには、main.js
ファイルでインポートしてVueインスタンスに渡す必要があります。
// src/main.js
import Vue from 'vue';
import App from './App.vue';
import router from './router';
new Vue({
router,
render: (h) => h(App)
}).$mount('#app');
これでVue Routerの導入が完了しました。ルーターを使って、アプリケーション内で異なるルートに基づいてコンポーネントを切り替えることができます。
以上がVue Routerの導入の手順です。次の章では、より詳細なルーティングの設定方法について説明します。
基本的なルーティングの設定
Vue Routerを使用すると、基本的なルーティングの設定を簡単に行うことができます。以下では、いくつかの基本的な設定方法について説明します。
ルートの設定
ルートの設定では、routes
オプションを使用してルートの配列を定義します。各ルートはオブジェクトとして表され、path
プロパティにはURLのパスを、component
プロパティには表示するコンポーネントを指定します。
// src/router/index.js
import Home from '../views/Home.vue';
import About from '../views/About.vue';
const router = new VueRouter({
routes: [
{
path: '/',
component: Home
},
{
path: '/about',
component: About
}
]
});
上記の例では、ルートパス(/
)にはHome
コンポーネントが表示され、/about
パスにはAbout
コンポーネントが表示されます。
リンクの作成
ルートが設定された後、リンクを作成して異なるルート間をナビゲートすることができます。Vue Routerでは<router-link>
コンポーネントを使用してリンクを作成します。
<router-link to="/">Home</router-link>
<router-link to="/about">About</router-link>
上記の例では、to
属性にリンク先のパスを指定しています。このようにリンクを作成すると、クリックされたときに指定されたルートに自動的に遷移します。
ルートの表示
ルートが設定され、リンクが作成されたら、ルートを表示するための場所を指定する必要があります。通常、Vueコンポーネントのテンプレート内で<router-view>
コンポーネントを使用します。
<template>
<div>
<router-view></router-view>
</div>
</template>
<router-view>
コンポーネントは、現在のルートに対応するコンポーネントを表示するために使用されます。ルートが変更されると、自動的に対応するコンポーネントが表示されます。
これで基本的なルーティングの設定が完了しました。ルートの設定、リンクの作成、およびルートの表示によって、異なるコンポーネント間を簡単にナビゲートすることができます。
次の章では、動的なルートの設定方法について詳しく説明します。
動的ルートの設定
Vue Routerでは、動的なルートパラメータを使用して、動的なURLを処理することができます。動的ルートを使用すると、パスの一部が可変であり、異なる値に基づいてコンポーネントを表示できます。
動的ルートの定義
動的ルートを定義するには、パスの一部をコロン(:
)で始め、その後にパラメータ名を指定します。
// src/router/index.js
import User from '../views/User.vue';
const router = new VueRouter({
routes: [
{
path: '/user/:id',
component: User
}
]
});
上記の例では、/user/:id
というパスを持つルートを定義しています。:id
は動的なパラメータであり、実際の値はURL内で指定された値に基づいて変化します。
ルートパラメータの取得
動的ルート内のパラメータは、コンポーネント内で取得することができます。Vue Routerでは、$route
オブジェクトを介して現在のルートとそのパラメータにアクセスできます。
// src/views/User.vue
export default {
mounted() {
const userId = this.$route.params.id;
// パラメータの値を使って必要な処理を行う
}
}
上記の例では、mounted
フックを使用してコンポーネントがマウントされた後に、$route.params.id
を使用してid
パラメータの値を取得しています。
プログラムによるルートのナビゲーション
動的ルートの場合、プログラムからルートのナビゲーションを行うこともできます。$router
オブジェクトを使用して、動的なパラメータを指定してルートに移動します。
// ルートのナビゲーション例
this.$router.push(`/user/${userId}`);
上記の例では、$router.push()
メソッドを使用して、/user/:id
パスに対して動的なパラメータuserId
を指定しています。
動的ルートを使用すると、パスの一部が可変である場合に柔軟にコンポーネントを表示できます。動的パラメータを取得して利用したり、プログラムによるルートのナビゲーションを行うことで、より動的なルーティングを実現できます。
次の章では、ネストされたルートの設定方法について説明します。
ネストされたルートの設定
Vue Routerでは、ネストされたルートを使用して、階層的なルーティングを実現することができます。ネストされたルートを使用すると、親ルートと子ルートの関係を構築し、入れ子のコンポーネント構造を作成できます。
親ルートの設定
ネストされたルートを定義するには、親ルートにchildren
オプションを追加し、その中に子ルートを定義します。
// src/router/index.js
import Parent from '../views/Parent.vue';
import Child from '../views/Child.vue';
const router = new VueRouter({
routes: [
{
path: '/parent',
component: Parent,
children: [
{
path: 'child',
component: Child
}
]
}
]
});
上記の例では、/parent
というパスを持つ親ルートを定義し、その下に/parent/child
というパスを持つ子ルートを定義しています。
コンポーネントの表示
親ルートと子ルートが定義された後、親コンポーネント内で子コンポーネントを表示するために、親コンポーネントのテンプレート内で<router-view>
コンポーネントを使用します。
<!-- Parent.vue -->
<template>
<div>
<h2>Parent Component</h2>
<router-view></router-view>
</div>
</template>
上記の例では、<router-view>
コンポーネントが子ルートに対応するコンポーネントを表示します。
ルートのナビゲーション
ネストされたルートを使用する場合、ルートのナビゲーションも親と子のレベルで行うことができます。親ルートのパスに加えて、子ルートのパスも指定してルートに移動することができます。
<router-link to="/parent">Go to Parent</router-link>
<router-link to="/parent/child">Go to Child</router-link>
上記の例では、<router-link>
コンポーネントを使用して、親ルートと子ルートへのリンクを作成しています。
ネストされたルートを使用することで、より複雑なコンポーネント構造を表現し、階層的なルーティングを実現することができます。親子関係のあるコンポーネントを組み合わせて、柔軟なアプリケーション構築を行いましょう。
次の章では、ルートナビゲーションの利用方法について説明します。
ルートナビゲーションの利用
Vue Routerでは、ルートナビゲーションを使用してプログラムからルートを変更したり、履歴を管理したりすることができます。ルートナビゲーションを利用すると、ユーザーの操作やアプリケーションの状態に応じてルートを動的に変更できます。
ルートへの移動
Vue Routerでは、$router
オブジェクトを使用してルートへの移動が可能です。以下の例では、$router.push()
メソッドを使用して指定したパスに遷移します。
// ルートの移動例
this.$router.push('/about');
上記の例では、/about
パスに遷移するために$router.push()
メソッドを使用しています。
履歴の管理
Vue Routerは、ブラウザの履歴を管理するための履歴モードを提供しています。デフォルトでは、ハッシュモード(hash mode)が使用されますが、history
モードを設定することもできます。
// 履歴モードの設定例
const router = new VueRouter({
mode: 'history',
routes: [...]
});
上記の例では、mode
オプションを使用して履歴モードをhistory
に設定しています。
履歴モードでは、ルートへの移動時にURLのパスが変更されます。ただし、サーバーの設定などが必要な場合があるため、詳細な設定方法については公式ドキュメントを参照してください。
ルートの取得
Vue Routerでは、現在のルートにアクセスするために$route
オブジェクトを使用します。$route
オブジェクトには、現在のルートに関する情報やパラメータなどが含まれています。
// ルート情報の利用例
mounted() {
console.log(this.$route.path); // 現在のパスを表示
console.log(this.$route.params); // ルートパラメータを表示
}
上記の例では、$route.path
を使用して現在のパスを表示し、$route.params
を使用してルートパラメータを表示しています。
ルートナビゲーションを利用すると、プログラムからルートを変更したり、履歴を管理したりすることができます。必要に応じて適切なルートナビゲーションのメソッドを使用し、アプリケーションのルーティングを制御しましょう。
次の章では、より高度なルーティング機能について説明します。
ルートガードの実装
Vue Routerでは、ルートガードを使用して、ルートへのアクセスを制御することができます。ルートガードを利用すると、ルートのナビゲーションが発生する前後に特定の処理を追加することができます。
グローバルなルートガード
グローバルなルートガードは、アプリケーション全体のルートナビゲーションに対して適用されます。以下のように、ルーターインスタンスのメソッドを使用してグローバルなルートガードを定義できます。
// グローバルなルートガードの定義
const router = new VueRouter({
routes: [...]
});
router.beforeEach((to, from, next) => {
// ルートナビゲーションの前に実行される処理
// next() を呼び出して次のフックに進むか、ルートに遷移するかを指定
});
router.afterEach((to, from) => {
// ルートナビゲーションの後に実行される処理
});
上記の例では、beforeEach
メソッドとafterEach
メソッドを使用してグローバルなルートガードを定義しています。beforeEach
メソッドはルートナビゲーションの前に実行され、afterEach
メソッドはルートナビゲーションの後に実行されます。
ルート固有のガード
ルート固有のガードは、特定のルートに対してのみ適用されるガードです。ルートコンフィグオプションの中で、beforeEnter
プロパティを使用してルート固有のガードを定義できます。
// ルート固有のガードの定義
const router = new VueRouter({
routes: [
{
path: '/profile',
component: Profile,
beforeEnter: (to, from, next) => {
// ルートナビゲーションの前に実行される処理
// next() を呼び出して次のフックに進むか、ルートに遷移するかを指定
}
}
]
});
上記の例では、beforeEnter
プロパティを使用してルート固有のガードを定義しています。このガードは/profile
パスのルートに対してのみ適用されます。
ルートガードを使用することで、ルートナビゲーション前後に特定の処理を追加することができます。グローバルなルートガードやルート固有のガードを適切に定義し、アプリケーションのルートアクセスを制御しましょう。
次の章では、さらに高度なルーティングテクニックについて説明します。
ヒストリーモードの有効化
Vue Routerでは、デフォルトでハッシュモード(hash mode)が使用されますが、代わりにヒストリーモード(history mode)を有効にすることもできます。ヒストリーモードを有効にすると、URLのパスにハッシュ(#
)が表示されず、より自然なURLが使用されます。
ヒストリーモードの設定
ヒストリーモードを有効にするには、ルーターの設定でmode
プロパティをhistory
に設定します。
// ヒストリーモードの設定例
const router = new VueRouter({
mode: 'history',
routes: [...]
});
上記の例では、mode
プロパティをhistory
に設定しています。
サーバーの設定
ヒストリーモードを有効にすると、サーバー側の設定が必要になります。通常、サーバーは全てのリクエストに対して同じHTMLファイルを返すように設定する必要があります。これにより、Vue Routerがアプリケーションを正しく処理できるようになります。
例えば、Apacheの場合、.htaccess
ファイルを使用して設定を行います。
<IfModule mod_rewrite.c>
RewriteEngine On
RewriteBase /
RewriteRule ^index\.html$ - [L]
RewriteCond %{REQUEST_FILENAME} !-f
RewriteCond %{REQUEST_FILENAME} !-d
RewriteRule . /index.html [L]
</IfModule>
上記の例では、.htaccess
ファイルを使用して、すべてのリクエストをindex.html
にリライトしています。
ヒストリーモードを有効にすると、URLにハッシュが表示されず、より自然なURLが使用されます。ただし、サーバーの設定が必要になるため、適切に設定を行いましょう。
次の章では、ルーティングのアクティブクラスの設定方法について説明します。