Pythonには、マルチスレッドプログラミングで情報を安全に複数のスレッド間で交換するために特に有用なqueue
モジュールがあります。このモジュールには、Queue
とSimpleQueue
という二つのキュークラスが含まれています。
QueueとSimpleQueueの違い
Queue
とSimpleQueue
の主な違いは、それぞれの実装と提供する追加機能にあります。
Queue
Queue
クラスは、FIFO(First In First Out)キューのより機能豊富な実装で、Pythonのqueue
モジュールの一部です。Queue
は、task_done
やjoin
といったタスク追跡機能を使用できます。これらは、キュー内のすべてのアイテムが別のプロセス/スレッドによって処理されたことを追跡するために使用できます。
SimpleQueue
一方、SimpleQueue
は、Queue
に比べて機能が少ないですが、スレッドセーフな並行処理だけでなく、再入可能性も扱うことができます。つまり、他の作業を中断する可能性のある危険な状況でqueue.SimpleQueue.put
を安全に呼び出すことができます。例えば、__del__
メソッド、weakref
コールバック、またはsignal
モジュールのシグナルハンドラから安全に呼び出すことができます。
しかし、SimpleQueue
は、Queue
が持つタスク追跡機能を持っていません。また、SimpleQueue
は無制限のFIFOキューで、put
がブロックされることはありません。これは無制限のメモリ使用と、明確なエラーで失敗する代わりにプログラムが無期限に停止することにつながる可能性があります。そのため、非自明なプログラムでは適切なmaxsize
を持つQueue
を使用することが推奨されます。
以上の情報を基に、Pythonでマルチスレッドプログラミングを行う際には、Queue
とSimpleQueue
の違いを理解し、適切なキュークラスを選択することが重要です。